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パリ回顧録④語学学校

渡仏前は日仏学館の講座でフランス語を一年半ほど勉強して、渡仏してからも2カ月間は語学学校に通いました。ここで出会った日本人の方とは帰国するまで仲良くさせてもらいました。

 

教室内だけでなく、郊外授業でモンマルトルの丘を散策して謎解きをしたり、自国の国の料理を持ち寄ったパーティなどもあり他の国の方々との交流の場にもなりました。

 

 

 

ドイツ、ロシア、イタリアなどアルファベット圏の国の方と日本人は基本的なレベルが違いますから、日本人は何かとからかわれたりして私もご多分に漏れず、日々の慣れない生活や手続きも合わさり、当時は暗~~い表情をしていたと思います。

 

同じクラスにマックス(ニックネーム)という中国人の男の子がいました。授業中は下を向いて、授業が終わればサッと帰ってしまう子でしたが、発言は的確でとても優秀だったのでキャラも含めてクラスの人気者でした。マックスは日本語も少し話せたので、質問の内容が理解できない私によく助け船を出してくれて有難い存在でした。

学校は一週間単位で通えるので、入る時期と終わる時期は皆さんバラバラ。そして私が通う最後の授業が終了した時、マックスが私にサッと白い封筒を差し出しました。

 

 

封筒を開けてみると、中には手書きのメッセージとイラストが。

お花と蝶の絵にはフランス語で「毎日いいチャンスがありますように」

案山子の絵には日本語で「道中でご無事をお祈りいたします。」「一路順風(中国語)」

 

こんな素敵な手紙をもらったのは初めて!感動してじわじわきてしまい、顔を上げてマックスを探したらもう彼は学校からいなくなっていました・・・なんて素敵な子なんだろう!

 

遡ること渡仏前・・・子供の生徒さんから「フランスでお友達になった人にあげてください。」と手造りのしおりをもらって(これもじわじわします。)フランスに持ってきていたので、このしおりを渡しに翌週学校へ行き、マックスに手渡しました。その時一緒に撮った写真も宝物。手紙は今でも想い出の引き出しの中に大切にしまっています。

 

マックスは今頃どこで何をしているのかしら。(こればかり)きっと頑張っているんだろうな。

あれから11年後の2020年、長い自粛が続く中、先の見えない不安で弱気になる自分の心と闘いの日々・・・またマックスに励まされた気がします。